会場はB&B
book&beerの略(?)で下北沢にある小さい本屋にイベントスペースがあるお店です。毎日イベントをやっていて小さいけどタフなやつ。大人の隠れ家ぽくひっそりと下北沢駅近くの路地にあります。
市原えつこさんに会いたくて初B&B
イベントの本題は「ろくでなし子の逮捕1周年記念イベント兼出版記念会」です。お目当ては市原えつこさん。初めてみたのは「アートはアーホ!」というフジテレビの深夜番組。これがアートか?と目を疑う作品を作る新進気鋭のアーティストを世に送るもの。「セクハラ・インタフェース」という大根を触るといやらしい声を出すという作品は夜食をボーっと食べていた私を釘づけにしました。ジェンダーの問題はチラチラ気になっているので、この当時からずっとお会いしたかったアーティストの一人でした。念願叶ったぱちぱち。
えつこ、キレイ!!と興奮
始めはろくでなし子さんにあまり興味はなく、イベント開始から20分くらいはずっと市原さんばかり見てました。「えつこーキレイだなー」って…恥ずかしい。しかし…ろくでなし子さんの自己紹介がエッジがきき過ぎて脳内がカオスになったのは言うまでもない。ここで初めてろくでなし子さんに関心を持ちます。
ろくでなし子の破壊力にエネルギー70%減
1、国家を敵に回しても笑っていられるしたたかさ
騒動で人が離れてしまう恐怖か、漫画のネタになるかどっちの震えかわからない!と言っていました。2度も逮捕されるとその先を考えるのが楽しくなるのでしょうか。クラウドファンディングで自分の女性器を3Dでかたどったボートを作る企画で、ご満悦な表情で漕いでいた顔は忘れられません。私はこのために生きているんだ…そう感じずにはいられない。
2、私の時間、売ります。
逮捕一周年ってことで裁判以外にやることがなく退屈な彼女は自分の時間を売り始める。もう失うものは何もないと悟りを開ききっている。
3、炎上のメリットを語る
名前をタダで売り出せること、作家活動としてのネタになること。炎上は時が過ぎて忘れられると名前だけが残って有名になるという言葉は印象的でした。炎上が起きたとき、人の潜在的な欲望が可視化されてしまうのでしょう。彼女は続いて「アートとは物議を醸すもの」とも言っていました。命を削って問題定義をするのがアーティストの役割。作品以上に生命力が求められる世界なのだと痛感しました。これくらいしぶとくなければ世の中に抹殺されてしまうのかと怖くなる。
4、受賞理由
東京デザイナーズウィークのTDWアートフェアにて前期準グランプリ受賞という華々しい功績を持っています。なんと受賞理由は「作品の質はどうでもいい。生き様がアーティストだ」最高の褒め言葉だと喜んでいました。
総評
ろくでなし子さんは自分で「ろくでなし」なんて言ってるけど、こじらせてしまった中二病テイストはなかった。むしろろくでなしな自分を楽しみながら時間を切り売りしている。明るく問題定義をしているんだなと感心しました。
弁護団の一人が「社会のものになって消費される女性器を自分の体に戻す活動をしている」ってセリフは響きました。
表現活動をすると必ずぶつかるタブーの壁。日本では逮捕されてしまうのは多分、根本にあるべき姿が真正面からのセクシーさよりもチラリズムなど奥ゆかしさを感じさせる文化があるからなのかな?でも巨大な産業になっているものは許す。破壊すれば雇用とお金と欲望が消えていくでしょう。たとえメッセージがあっても直接的なものは断じて許さない。異質なものを見ると排他的になってしまうのは何がそうさせているのだろう。
本日のイベントでろくでなし子さんの見方が良い方向に変わりました。おやすみなさい。